東急田園都市線梶が谷駅での列車接触・脱線事故の原因と対策

10月5日の夜11時過ぎ、神奈川県川崎市の東急田園都市線の梶が谷駅でお客さんを乗せて走行していた列車(中央林間駅発渋谷駅行の各駅停車)と留置線に停めていた回送列車が衝突して、回送列車の車両の一部が脱線する事故がありました。各駅停車には乗客が149人乗っていましたが、ケガはありませんでした。双方の列車の運転士・車掌ともにケガはありません。

留置線に回送した列車は見習い運転士が運転していて、留置線に入るときに速度超過によるオーバーランを防止するための信号を受信したために所定の位置よりも手前で自動停止していました。

結果として車両の最後部が本線にはみ出してしまい、走行中の各駅停車と接触する事態になってしまいました。各駅停車の運転手も梶が谷駅に進入する際に留置線にいた回送列車が通常よりも本線上に近い位置にいることを感じで非常ブレーキをかけたものの間に合わずに衝突しました。なお、回送列車には見習いの運転士だけではなく指導役の運転士も乗車していました。

この影響で東急田園都市線は渋谷駅と鷺沼駅の上下線で運転ができない状態となっていて、10月6日になっても運転再開の見通しは立っていません。運輸安全委員会が許可すれば列車の移動ができるようになります。10月6日の朝の通勤時間帯には各駅でバス乗り場などに長蛇の列ができ混乱しました。

最近では列車の運転は各種安全装置も整備されていて、安全対策は進化してきていると思っていたのですが、今回のように回送車両の最後尾が本線上にはみ出しているような場合は安全装置も察知することができないということは危険だと感じました。回送列車の指導役運転士、見習い運転士ともに車両最後部が本線にはみ出しているかもしれないということは気が付きにくかったかもしれません。回送列車の車掌が最後部にいれば危険を察知できそうにも思いますが、車掌の配置についての報道は見つけることができませんでした。

このような事故を防ぐためには、スバルのアイサイトのように衝突防止装置を付けるしかないようにも思いますが、列車は非常ブレーキをかけても完全に止まるまでに長い距離を走ってしまうため、それだけ先の異常をカメラやレーダーなどで察知することは難しそうです。さらに今回はポイントで分岐して曲がった先の事故だったので、さらに事前の予測は難しい状況だと思います。

留置線側に列車停止位置のセンサーを設けて危険が想定される場合は本線側の列車を停めるような安全対策が有効なのかもしれません。

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