日本国内で空き家が増加。不動産価格への影響は?

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田舎の村と里山

 総務省が2013年の住宅・土地統計調査の速報を公表しました。この調査は5年に一度実施されている調査になります。この内容によると、総住宅数は前回調査の2008年と比較して5.3%上昇して、6063万戸になりました。少子高齢化、人口減少が進んでいるので総住宅数が増えるのはあまり理解できなかったのですが、もしかすると核家族化が進展して、一つの家に住む人の数が減っているので、住宅数が増えているということかと思いながらこのニュースを見ていました。

 しかし、もう一つの数字に大きな課題が見えてきました。空き家の総数が前回調査から8.3%(63万戸)増加して、過去最高となる820万戸にもなったそうです。実に総住宅数のうち13.5%が空き家ということになります。このうち老朽化などで放置されているとみられる住宅が318万戸で前回の調査と比べて50万戸も増えました。

 空き家はどこに多いのかというと、実は東京都が81万7200戸ともっとも多く、次に大阪府が67万9800戸、神奈川県が48万6700戸などとなっています。過疎の村などで発生しているのかと思っていたのですが、絶対数で言えば実は都市部を中心に空き家が増えている実体があるということです。

 住宅全体に占める空き家の割合という指標で見ると、山梨県が22%、長野県が19.8%、和歌山県が18.1%と続いており、これはやはり過疎化が原因となるのでしょう。

 空き家の絶対数が都市部に多いというのはとても意外でした。今でも都市部では住宅価格は比較的高値で安定しています。中古住宅もそれほど価格が安くなっているような気がしません。これは、空き家の持ち主がまだ手放す決意をしていないため、実際に流通する物件が少ないことによるためでしょうか。

 だとすれば、これ以上、空き家を所有し続ける人が増えてくると、徐々に流通市場に出回り始め、都市部で住宅価格が暴落するのではないかという危惧があります。この場合、不動産価格にどう影響するのか非常に気になるところです。

 空き家には崩壊や放火にあいやすいという安全上のリスクもあります。空き家の近くに住んでいる人はやはり空き家があること自体がリスクになってしまいます。しかし、空き家を取り壊すと、固定資産税の特例措置を受けられなくなり税額が増えてしまうために持ち主には取り壊しができない事情があるのだそうです。本当に税金が原因なのであれば、税制を改正して空き家を無くした方が持ち主にとってメリットがあるような税制にすべきなのかもしれません。

 この空き家が増えるという事実は、今後の日本の経済に大きな陰をおとす結果にもつながりかねないので、慎重に政策を検討する必要があるのではないかと思います。

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