昨今、個人の情報発信については、Instagram、Facebook、TwitterなどのSNSが全盛になっていますが、今までの通信と個人の情報発信の関係を紐解くと下記のような流れになると思います。
- パソコン通信の掲示板などでの情報発信 (1980年代後半~)
- インターネット黎明期における個人ホームページでの情報発信 (1990年代~)
- ブログによる情報発信 (2000年代~)
- SNSによる情報発信 (2010年代~)
パソコン通信とNIFTY-Serveの登場
パソコン通信はインターネット普及前の通信手段でアナログ電話回線にモデムをつなげて利用していました。通信速度は今と比べ物にならないほど遅くて、当初は300bpsから1200bps、1984年に9600bps、1990年代に28.8Kbpsのモデムが登場しています。通信速度が遅いので、やりとりする情報の基本は文字です。こんな時代の1987年4月にパソコン通信サービスのNIFTY-Serveが登場しました。
インターネットの普及とメンバーズホームページ
インターネットが徐々に普及した1990年代ですが、NIFTY-Serveは1997年にメンバーズホームページというサービスを提供開始しました。文字通り、WWWで個人ホームページを発信するための仕組みの提供です。当時は無料のホームページサービスなどもありましたが広告が表示されてしまうことと、有料のホームページサービスはコンテンツを入れるための器が小さくて画像などの情報を入れると容量が足らなくなってしまいます。容量を追加すると月額使用料が高くなってしまうので、私自身は自宅のパソコンにLinuxやApacheなどを導入して情報を発信していました。自宅にADSLで常時接続回線を利用できたので、自宅サーバーという選択肢がとれるようになっていました。したがって、NIFTY-Serveのメンバーズホームページはあくまでも補助的に使っていました。
個人ホームページと言っても今ではどんなものだったか想像しにくいと思うのですが、俳優の阿部寛さんのホームページがまさにこれに該当します。まるで当時のレトロなデザインが今でも継承されている貴重なページです。
このホームページ、@niftyが提供しているLaCoocanのサービスが使われています。
ブログの普及とココログの登場
1999年にNIFTY-Serveは@niftyに名称が変更になりました。また、@homepageサービスを開始します。メンバーズホームページの機能に加えて、cgiが使えるようになり表現力が少し高まりました。2000年代に入ってブログの普及が始まると、@niftyではココログというブログサービスを始めます。デザインをいくつかの選択肢から選べるようになっていて、自分好みのブログを公開できました。ブログは個人ホームページと比較するとデザインを選んで文字を記入したり画像を挿入すると情報発信が行えたので、HTMLを覚える必要があった個人ホームページと比較すると気軽に利用できるメリットがありました。
私自身は当時は自宅サーバー上に個人ホームページに加えて、MovableTypeというCMS(コンテンツ管理システム)でブログを公開していました。ココログも使いましたが、こちらもあくまでも補助的な目的で使用していました。
レンタルサーバーの普及
2000年代後半になると、レンタルサーバーを提供する会社のサービス利用料金が安くなってきました。私自身は自宅サーバーの運用を停止して、さくらインターネットのレンタルサーバーを利用するようになりました。@niftyもレンタルサーバーに相当するLaCoocanというサービスを2006年にサービス開始しました。
SNSの普及と各社ブログサービスの終焉
2010年代に入ると、Instagram、Facebook、TwitterといったSNSサービスを利用する人が増えて、ブログで情報を発信する人の数は減りました。2020年代に入るとYahoo!ブログをはじめとして各種ブログサービスが提供を終了しています。各サービスでは移行先のサービスも提供していましたが、移行が行われずに失われてしまった情報も多数あります。
@niftyによるホームページサービス(LaCoocan)継承の取り組み
一方で、@niftyについては時代の流れに逆行するかのように「@niftyホームページサービス(LaCoocan)」にてホームページ文化の継承に向けた取り組みを開始することを発表しました。
パソコンの中に眠っているコンテンツ(ホームページ)がもしもあった場合、「#好きがつながるプロジェクト」に合わせて、ニフティが発信する手伝いをすると発表しています。このように個人ホームページのサービスを今後も継続していくことを強い意志をもって決意表明してもらえると、眠っている情報の受け皿になるかもしれません。
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