無料化の約束が果たされない高速道路の今後

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日本の高速道路は借金で道路を作って、利用者(受益者)が払う料金で返し終えたら無料にするという方式で始まりました。

1956年に制定された道路整備特別措置法があります。日本で最初にできた有料の高速道路は1963年開通の名神高速道路ですが、開通したときの有料期間の期限は25年とされていました。約束通りに無料化が果たされていれば、1988年には無料化できているはずです。

1968年に開通した東名高速道路は23年後の1991年には無料化されているはずでした。

しかし、この無料化の約束はいまだに果たされていません。

なぜ、約束が果たされないか?という理由についてですが、料金プール制度と呼ばれる仕組みのためです。高速道路の収支を一つ一つの路線ごとに管理するのではなく、ひとまとめにして管理する方式です。

東名高速道路や名神高速道路が個々の路線ごとに収支が黒字になったとしても、後から作った高速道路の建設料金分の赤字が積み上がっていくので、いつまで経っても無料化できません。

いわば、「どんぶり勘定」による利権の確保、リボルビング払い方式による収支構造の不透明化と言っても過言ではない状況です。

日本道路公団の借金は約40兆円にまで膨れ上がり、小泉政権のときに体質改善の必要性が議論されて、2005年に民営化されました。今のNEXCOです。このとき、借金の返済期限は2050年までと法律で定められました。

2023年時点での借金は約26兆円、しかし、道路設備の老朽化を補修するために新たに約8.3兆円が必要と試算されて、国は期限を最長で2115年まで延長可能にする法案を提出しました。これと同期をとって、NEXCO各社では高速道路の老朽化とこれを今後修繕する必要があることを訴えるテレビCMを放映しています。

今後は新しい高速道路をさらに作る必要性はなくなってきています。社会保障費も膨れ上がってきている中で、国民の生活への不安は非常に大きくなっています。税負担と社会保障負担の合計が国民所得に占める割合(国民負担率)は2021年に48%にも達しています。(1970年時点では半分の24.3%でした)

いつまでも高速道路を有料化するのは、国民の理解を得ることが難しいです。

1949年に揮発油税導入、その後、自動車取得税、自動車重量税導入など道路特定財源制度は拡充され、2008年には一般財源に組み入れられています。この財源で高速道路も維持していく仕組みに変えなければいけません。

すでに首都圏にあるJRの路線でも路線ごとの赤字額が公表されて廃止などの対策をとることに向けて議論が行われる状況にあります。これから、国民の絶対数が減少していく中では必要な議論です。

高速道路についても同様です。もし、維持できないのであれば、高速道路の中で交通量と維持費のバランスが取れない路線は廃止し一般道と併合するなど、踏み込んだ対策が必要になると思います。

 

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