収入減少に苦しむAMラジオの放送局がFM化を検討中

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ラジオの受信機

 日本のAMラジオ放送は、1925年3月22日に東京芝浦の旧逓信省電気試験所から、日本最初のラジオの電波が発射されたことに始まります。この日は現在、「放送記念日」として認識されています。

 初期のラジオは、鉱石ラジオと真空管ラジオの2つの主要な形式でした。鉱石ラジオは電源を必要とせず、真空管式のラジオはスピーカを鳴らすことができましたが、高価で一般の人々が使えるものではありませんでした。

 1930年代に入ると、部品と組み立て方法の改良により、ラジオが家庭の電灯線から電源を取れるようになりました。これによりラジオは爆発的に普及し、1931年には聴取者が100万を突破しました。

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現在のAMラジオ放送とrajiko(ラジコ)の同上

 その後、受信機としてはトランジスタラジオが開発されて現在に至っていますが、特にAM放送そのものは大きく変わらず現在に至っています。しかし、放送そのものはインターネットを活用したradiko(ラジコ)によって、リアルタイムでなくても番組を聞くことができるようになりました。rajikoは2010年3月15日に試験配信を開始して、12月1日から本格運用を開始しています。有料のradikoプレミアムに加入すれば国内どこの地域からでも日本全国のラジオ局の番組を聞くことができます。

 現在はAMの電波を使ってラジオ放送を行っている、文化放送、TBSラジオ、ニッポン放送などが、FMラジオへの移行を検討しているようです。最近では、高層ビルが電波を遮るなどの理由で、AMラジオ局の経営環境が悪化しているのが理由だとされています。

 今回、このような検討ができるようになった背景は、テレビがデジタル化されたことによって、従来のアナログテレビで使っていた周波数が余ったことによります。特にラジオ局が狙っている帯域はV-LOWと呼ばれている帯域です。東京で言えば、昔、NHK総合やNHK教育が使っていた周波数を指しているのでしょう。

東京以外の地域でもFM放送化の動き

 また、東京周辺のラジオ局だけではなく、大阪やその他の地域のラジオ局も検討を進めているようですので、あと何年かすると、AMラジオ放送は風前の灯になるのかもしれません。

 もし、FM放送に移行するとしても、地上デジタルテレビテレビが始まったときのように、最初のうちは従来のAM放送も並行して流す方式が有力です。

 少し心配なのは、ラジオ放送の受信装置です。単に現在のFM放送の規格に移行してくれれば良いのですが、FM電波を使ったデジタル放送をする方向で検討が進んでいます。アナログよりもデジタルの方が音質が良い上に圧縮技術を駆使すれば搬送する周波数帯も少なくて済むので有力な案ではありますが、現在のラジオ受信機では対応していないものがほとんどです。

 例えば、クルマに設置してあるラジオでは、並行移行期間が終わってしまうと、現在のAM放送が聞けなくなってしまう可能性があります。

 さらには、既存のFM局にとっても、AMから移行してきたラジオ局の方が音質が良くなってしまうと、死活問題になってしまうので、やはりデジタル化に向けた検討を進めることになるのでしょう。

 今後の動きが気になるニュースでした。

(20130313追記)

ニッポン放送社長の定例会見でもFM化に言及

 3月12日のニッポン放送社長の定例記者会見で、

・FM放送の活用を検討すること
・今後もAM放送は継続すること
・デジタルラジオへの移行は当面見送ること

について考えを示したという報道がありました。当面は現行の放送受信機器がそのまま使えるので、良い落とし所なのではないかと思います。

【2024年2月8日追記】

AMラジオの放送休止

 2024年2月1日から一部のAMラジオ放送が順次休止されることが決定しています。これは、AMラジオ放送の維持コストが高く、特に設備の老朽化が問題となっているためです。休止期間中には、AMラジオ放送の社会的影響、特に聴取者への影響を検証することが予定されています。

 今回のAMラジオ放送の休止は、FM転換やAM局廃止を検討するための一環とされています。FM放送は、AM放送に比べて送信設備費用が低く、また電波の受信性能が高いという利点があります。

 AMラジオ放送の内容を代替手段(ワイドFM放送を含むFMラジオ放送、CATV、radiko等のインターネット配信サービス等)で聴けるようにする措置が講じられる予定です。

 総務省も、AM放送からFM放送への移行を推進しており、2028年までにすべてのAM放送局がFM放送に転換することを目標としています。今回のAM放送の休止は、試験的に実施されます。2024年2月1日から2025年1月31日までの期間、13社34局がAM放送を休止します。この試験の結果を踏まえ、今後のAM放送のあり方が検討されます。

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