米国Oracle社といえば、テキサス州に本拠を置く、リレーショナル型のデータベース管理システムの事業で大きく成長した会社です。主力のOracle Databaseに加えて、ERP、CRM、SCMなどの製品を持っています。
しかし、既存の製品群だけに頼った戦略では将来が厳しいので、OracleはAI関連競争にも加わっています。現在、クラウドコンピューティングの分野では出遅れ感があるOracleは、OpenAI向けに3000億ドル相当のAI向けデータセンターを提供する契約を行い、AI関連インフラ競争に参戦しました。しかし、投資家はこれだけ大きな投資を行うことによる債務増加に不安を感じていて、株価は下落方向、社債も売りが優勢になっています。
ブルームバーグは12月12日にOracleがデータセンターの完成を予定より1年遅れにして2028年にしたと報道しました。これにより、Oracle株は一時3.6%下落しています。
その後、Oracleの広報担当者はロイターに対して、予定通りに進んでいることを連絡しています。
Oracle社の米ドル建て債券がどうなっているか、楽天証券で調べてみました。すると、「オラクル米ドル建て債券6.125% 2065/08/03 」の参考利回りが6.4100%まで上がっています。今日現在の格付けはMoody’sがBaa2、S&PがBBBとなっていました。
6%を超える利回りは大変に魅力ですが、もはやジャンク債並の利回りでもあるので、とても不安な状況でもあります。もしも、基幹顧客であるOpenAIが支払い不能になるようなことがあったら、どうなってしまうのでしょう。AI自体の開発競争が非常に激しいですし、最新のAIモデルのGemini3か非常に高い評価を受けているため、アルトマン氏はコードレッド(非常事態)を宣言しています。
その上、最近では需要が大幅に増加しているメモリー価格の高騰が急速に進んでいるので、Oracleも当初計画通りのコストでセンターを完成できるのかどうか、とても不安に感じます。社債は比較的リスクが低いと言われますが、今後も財務的な不安が増大するならば利回りは上昇(取引価格は低下)しますし、万が一、Oracle社が経営破綻ということになれば額面通りの償還はされなくなりますので、私自身は興味を持っていません。


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