ロボット掃除機のルンバを扱っている米国のアイロボット社が12月14日に米デラウェア州の連邦破産裁判所に連邦破産法11条の適用を申請しました。日本の民事再生法に相当します。
アイロボット社はマサチューセッツ工科大学のエンジニア三人によって1990年に設立されました。最初はアメリカ軍やSWATでの爆発物処理や偵察に使用される軍事用ロボットのバックポットなどを開発していました。2002年には家庭用ロボット掃除機のルンバを発売して、これがヒットしたことにより主力製品になりました。2006年3月には、アイロボットはルンバを200万台販売したことを発表しています。
しかし、2021年までは業績を伸ばし続けることができましたが、2022年以降は売上が落ち赤字に陥っています。2022年にはAmazonがアイロボットを買収することが発表されましたが、連邦取引委員会や欧州連合の規制当局の審査が難航したことを受けて、2024年にはAmazonはアイロボットを買収することを断念しています。2024年第4四半期および通年の決算報告書においては、アイロボットは「事業継続に関する重大な疑義」を表明しています。この報告書の中で、収益が第4四半期の前年比で約50%、通年では前年比で約24%減少したことが明らかにされました。2026年2月までの破産手続き完了を見込むと発表されています。
今後はルンバの生産を委託していた中国のメーカーがアイロボットを買収して、経営の再建を図るとしています。これにより、アイロボットはベンダーや債務者に対して全額返済後に事業を継続するともしています。また、製品の出荷やカスタマサポート、アプリの提供はそのまま継続されるとしているので、利用者やパートナーへの影響は限定的になる見込みだと報じられていました。
アイロボットを買収する会社は、中国とベトナムに研究開発・製造拠点を持つロボットメーカーで、これまでに2000万台を超えるロボット掃除機を製造・販売しています。アイロボットという米国で軍事用ロボットを手掛けたこともある会社を中国の会社が買収してしまって、本当に大丈夫なのでしょうか。

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