最近、ブレーキとアクセルを踏み間違えて事故が発生するケースが度々報道されます。高齢者の事故という印象もありますが、中にはそうではないケースもあり、自動車そのものの運転機構の問題ではないかとずっと思っていました。なにしろ、自動車を止めるためのペダルと自動車を加速させるためのペダルが隣り合っているというのは、リスクが高いと思います。マニュアル車であれば、クラッチの操作など、他の操作を組み合わせなければいけなかったので、ペダルの踏み間違えによる事故は問題になりにくかったとも思いますが、オートマチック車が一般的になった現在では、踏み間違えは大事故に至る要因になってしまいました。
そんな実態に対して、国土交通省が対策を義務化することを発表しました。具体的には、道路運送車両の保安基準等を一部改正し、2028年9月1日以降の新型乗用車（輸入車は2029年9月1日）を対象に「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の搭載を義務付けるとしています。輸入車の義務化を遅らせたのは、現在行われている米国との関税交渉への一定の配慮なのかもしれません。
「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」は、日本で開発された技術ではあるのですが、決してガラパゴスというわけではなく、国際基準とすることが国連自動車基準調和世界フォーラム（WP.29）において、2024年11月に合意されています。
本規則の対象車両は運転者がクラッチの操作を必要としない乗用車(乗車定員10人未満）です。この場合は、クラッチペダルのないATモデ国際基準の「ペダル踏み間違い時加速抑制装置に係る協定規則」に適合する装置を備えなければいけません。
この国際基準の中身を見ると、「障害物1.0m及び1.5mに停止状態でアクセルをフルストロークまで踏み込んだ際に働く機能なので、障害物がこの範囲にないときは作動しないことになります。従って、踏み間違え事故の全てが解決するものではないですが、事故件数の削減には大きな効果があるのではないでしょうか。
2028年というと、まだまだ先にも見えますが、来年、再来年くらいからは、一部の新型車でペダル踏み間違え時加速制御装置を搭載したクルマが増えてくるのではないかと思います。
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