官公庁や自治体のコンピュータシステムでは外資系のコンサルティングファームの影響なのか、オンプレミスの世界でも日本のコンピューターメーカーが開発した製品は嫌われて、DBMS一つとってもOracleなどの製品が使われる傾向がありました。
政府や自治体のクラウドは9割以上がAWS
それに加えて、オンプレミスからクラウド化の波が起こり、各府省庁や自治体システムのクラウドのうち9割以上をAWSが占める状況になっています。どのシステムもクラウド化の波にのってオンプレミスのシステムが減少すれば、日本のコンピューターハードウェアメーカーはハードを売ることができません。外資系が日本の市場を奪うために巧妙に仕組まれた罠に日本政府が乗っかってしまったように思えてなりません。
結果、日本のコンピュータハードウェアやミドルウェアを作って提供する部門販売に苦戦して、外国の企業の製品がデファクトスタンダードになってしまっています。
ガバクラ移行後の方が2〜4倍高価?
クラウドに関しても、自治体のシステムの共同化が進めば、各自治体の投資が効率化されるという触れ込みでした。しかし、特にクラウドに関しては、結局のところ各自治体がオンプレミス(またはサービスベンダーのサービス利用)をしていたときよりも利用料が高くなってしまうという報道があります。システム運用コストに至っては、移行前よりもガバクラへの移行後のほうが、2〜4倍高くなるという報道もありました。

貴重な税金がクラウド移行によって多く使われる、かつ外国の会社に流れていくということがあってよいのでしょうか。別の形でベンダーロックインになっているだけのような気がしてなりません。
今一度、日本政府やデジタル庁には日本を強くするためにはどうすれば良いか?という観点に立って国策を進めてほしいと期待しています。
【2025年9月2日追記】
ガバクラ事業者にさくらインターネットを選定
その後、政府は経済安全保障の観点からも国産クラウドを選ぶ方向に考えを変えて、ガバメントクラウドの提供事業者として国内企業としてはじめて、さくらインターネットを条件付きで採用しました。
東洋経済からのインタビューに対して、さくらインターネットの田中社長は「10年前から全社員向けに、Amazon、マイクロソフトに次ぐ日本で最も有名で使われるクラウドになろうとのスローガンを掲げている。銀の弾丸のごとく一気に解決するようなものを待ち望んでいて、そこにガバクラの話がきて”これだ!”となった」と語っています。
なお、国は2023年度に、さくらインターネットに対してクラウド事業の助成金として73億円を支援しています。
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