情報をセキュアに預かり二次活用する情報銀行の今後の行方

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銀行と言えば今までは現金を預けるところというイメージが強かったですが、最近では情報を預ける銀行に期待が集まっています。これから先、IOTが普及して色々な情報が蓄積されていったとき、この情報を持っている業者にとってはあまり価値のないデータであったとしても、その情報が役に立つ企業から見ると欲しくてたまらない情報となります。

このような情報の提供者とデータを利用したい事業者の間を取り持つ機関として、情報銀行が注目されています。ただ、情報という見えないものは、一人歩きされても怖いもので、どうやって情報の提供者に安心な状況を作っていくのかが一つのカギになります。

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情報提供に関する過去の話題

情報の取り扱いについては、Suicaの乗降履歴データをJR東日本が日立製作所に販売していたことが、「事前の十分な告知や顧客への事前確認もなく実施されるのはおかしいのではないか」ということで、2013年に話題となりました。JR東日本としては謝罪した上で、どんな形で匿名化して情報を提供するのかを改めて開示し、個人識別性の無い統計レポートに限ることを契約で縛るようにしました。さらに、自身が保有するSuicaの乗降履歴がJR東日本から外部へ提供するデータに反映されないようにオプトアウトする申請も受け付けています。

この一件だけ見ても情報の管理については非常に国民の関心が高いことがよく判ります。従って、情報銀行の実現にあたっては、何をどう流通させるかという情報の開示、消費者からの理解、高いセキュリティの確保といったことが重要な要素となります。

情報銀行では情報漏えいが発生しないようにするためのセキュリティ確保はもちろんのこと、消費者本人の預託を受けて企業からログ情報を受け取り、また預かったログ情報は個人が許可した企業にだけ提供するという運用を想定しているようです。また、情報の提供を受けた企業からはポイント付与などのメリットを情報銀行を介して個人に還元する仕組みを想定しています。

日本における現状

Wikipediaで情報銀行を調べてみると、平成27年度に個人情報保護法が改正されたことによって、情報銀行の制度が日本でも実現可能になっているそうです。データ流通環境整備検討会では以下の分野での利活用が期待されているとされています。

  • 観光
  • 金融
  • 人材
  • 農業
  • 医療
  • 介護
  • ヘルスケア

日本政府としては、他の先進国に遅れをとることがないように、IoTやAIといった分野でブレークスルーをおこし第四次産業革命を促していくことが大切だと考えています。この実現にあたって重要な位置にあるのが情報の流通ということになります。

現在は情報銀行の仕組みが整備されていませんので、例えば楽天のように、自社グループで仮想商店街、銀行、クレジットカード、保険といった分野を多角的に手掛けて、自社のデータを活用することを戦略としている会社があります。どの会社でも現在はこの自社で持っているデータの活用が出発点になっていると思います。ただ、これだけでは社会的にインパクトのある、ブレークスルーを巻き起こせるようなところまではたどり着きません。

2017年の夏には汐留シティセンター内の一部店舗を使って富士通とイオンフィナンシャルサービスが提携して情報銀行の実権をしています。この実験では個人情報の提供者は富士通の社員となっています。提供者は自らの意思でデータの閲覧や提供先企業への開示範囲などを設定することが可能となっています。

このような実証実験を通じて様々なユースケースに関する知見をためていくことが、今後の本格的な展開に向けては重要な時期なのではないかと思います。自分の情報が海外の企業に握られてしまうのは何となく怖いので、できれば国内の信頼できる企業または企業グループで信頼性の高い仕組みが構築されることに期待しています。

【2019年1月8日追記】

事業者の募集

2018年12月21日に日本IT団体連盟が情報銀行としての認定を希望する事業者の募集を始めました。2019年3月には最初の事業者が認定される見通しとなっています。

日経クロストレンドの2018年12月18日の記事を読むと、ヨーカ堂の富永氏が普及しないという見解を示しています。こちらの主張はスマホやブラウザなどから得られる行動ログを今から集めようとしても、先行各社に大きく遅れをとっている状態からは難しいのではないかという内容でした。

ただ、すでに国家レベルではすでに部門別に多くの個人情報が蓄積されていますし、また、各企業でも扱っている個人情報は多岐にわたります。これらの中から有意な統計情報を導き出して、情報としての付加価値を高めるような活動であれば、まだまだ拡大の余地が大きいのではないかと思います。

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