マイクロソフトは今まではWindowsやOfficeの販売を通じてガッチリと儲けてきましたが、最近になって戦略に変化が見え始めました。
Windowsの無償提供
一つ目は消費者向けスマホやタブレット端末のメーカーに対してWindowsを無料で提供する方針を決めたことです。この市場ではandroidやiOSがとても強く、Windowsが苦戦しています。昨年の統計では全スマホのうち75%がandroid、残りのほとんどがiOS、たった3%ばかりがウインドウズ搭載のスマホです。ウインドウズ搭載のタブレット端末もわずか2%程度なのだそうです。
しかし、このままタブレットやスマホの市場でWindowsが普及しないと、どんどんandroidやiOS上のアプリを使いこなす人が増えてしまいます。さらにパソコンの市場まで、chrome OSが進出し始めておいて、このままではWindowsの市場は減るばかりになってしまう恐れがあります。マイクロソフトとしては非常に大きな危機感を持っているのだと思います。
ただ、androidやiOSは無償で提供しても成り立つビジネスモデルがありますが、マイクロソフトはOSそのものを収入の源泉にしてきたので、これを無償提供することは大きなリスクも立ちはだかっています。本来は消費者に対して有償でも使ってもらえる差別化要素をもった製品を開発すべきだと思うのですが、今やandroidやiOSもたいへんに使いやすい製品に仕上がっているので差別化するのは難しいのでしょう。
Windowsがメーカーに対して無料で提供する製品の条件は消費者向けのスマホと液晶サイズが9インチ以下のタブレットとなります。従来はこれらの商品に対してはWindowsの使用料として5ドルから10ドルを徴収していたそうです。この5ドルから10ドルというのもWindowsの価格としては破格だったことが判ります。Windows95が発売された当時は、アップグレード版を1万円以上出して買ったと思います。また、インターネットエクスプローラーなどが入っているPlus!は別売りでした。当時はパソコンの普及台数が現在よりも少なかったもののそれでも相当の金額がマイクロソフトに入ったことと思います。
スマホ向けOfficeの無償提供
モバイル向けのOfficeについてもマイクロソフトは無償提供を始めました。「Office Mobile for iPhone」および「Office Mobile for Android phones」です。
「Office Mobile」というアプリケーションは、パソコンの代表的なソフトであるWord、Excel、PowerPointのドキュメントを、スマートフォンで表示・編集することができる製品です。マイクロソフト純正ということで、ドキュメント内容や書式も正しく維持される。
以前は「Office 365」を使っている人のみに2013年6月から提供されていましたが、3月28日からは無料のマイクロソフトアカウントを取得すれば利用することができるようになりました。一方で「Office for ipad」については日本市場向けに今のタイミングでは公開されませんでした。
このOfficeの無料提供も非常に思い切ったことだと思います。それだけ、モバイルの分野でマイクロソフトは危機感を募らせているということなのだと思います。今後、マイクロソフトがモバイル市場でのシェアを広げることができるのか否か気になるところです。
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