朝日新聞のサイトを見ていて知ったのですが、電気用品安全法が猶予切れになることに伴い、新しい安全基準を満たしていない中古品は販売することができなくなるそうです。
この電気用品安全法は2001年に施行されたとのことで、5年間は猶予期間が続いていました。その猶予期間がこの3月末に切れてしまうそうです。この法律では検査済みの製品に安全性を示すためのPSEマークを貼ることとなっていて猶予期間を過ぎるとマークの無い製品が売れなくなってしまいます。
私もよくリサイクルショップは利用しています。たとえば、トレジャーファクトリーというリサイクルショップはチェーン店を持っていて、比較的大きなお店もあります。いままでこのお店に不要品を引き取って貰うこともありました。幅広い商品を扱っているのはこのお店の強みだと思います。(逆にパソコン関連用品であればある程度をまとめてSOFMAPに買い取って貰うことがほとんどです)
このようなお店でも、PSEマークがついていない製品については、買い取りに制限がかかってしまうものと思われます。公式サイトではまだアナウンスはされていないようでした。
この報道を見て、もっとも困るだろうなと真っ先に頭の中に浮かんだのが、ハードオフです。さっそく、ハードオフの公式サイトに行ってみると、やはり、「電気用品安全法」に伴う買い取り基準の一部変更のお知らせというのが掲示されていました。
平成18年2月11日からPSEマークのない100V・200V電源を使用する電気用品は買い取りをやめたそうです。この記事を見ると、パソコン・プリンタなどの情報機器は対象外、そしてACアダプターを使用する商品などは法律適用までまだ猶予があるようなので、この買い取りと販売は従来通りに実施するそうです。
なお、法律の詳しい内容に関しては、こちらのサイトで判ります。
ハードオフでは中古品として取り扱っている商品はそんなに古い商品は無いように思うのですが、ジャンク品として扱われている商品、たとえば古いビデオデッキ、レーザーディスクプレーヤー、衛星放送受信装置、レコードプレーヤーなどは相当の製品が販売ができなくなってしまうものと思われます。
ハードオフにしてみれば、もともとが無料等格安で引き取った商品のはずで、そんなに経営に大きな影響は無いのかな?という気はしますが、ジャンク品が一掃されてしまって、サッパリとしてしまった売り場は、何となく寂しいような気がします。
また、もう一点気になったのが、自分で使用してきた商品を売ることはできるのか?という問題です。
もう中古ショップでは買い取りをしてもれなくなってしまうので、特にオークションやフリーマーケットなどで売る場合が該当すると思います。この場合はどうなるのか、FAQに書いてありました。下記の通りです。個人の場合、事業として販売をしているか否かで異なります。
例えば、個人が自分で使うために購入した製品を、必要が無くなった等の理由で販売する場合などは、電気用品安全法の対象外となります。しかし、個人による販売であっても、一度に大量に販売したり、何度も繰り返し販売すれば、電気用品安全法上の「販売の事業」と考えられ、電気用品安全法上の販売の規制の対象となります。
従って、個人で使ってきたものをオークションなどで少量販売することについては問題は無いようです。他にも海外へ売ることは海外の法律に従えば良い、レンタルはそのまま続けても良いということがFAQさいとには書かれていました。
また、PSEマークがない製品でもある決められた手続きをへて安全性を確認できればPSEマークをつけることも可能だそうです。PSEマークをつけることさえできれば、またショップを通じた取り引きができるのでしょう。朝日新聞の記事ではビンテージもののギターアンプの取り扱いなどが取り上げられていましたが、これらの商品にPSEマークをつけることは可能なのでしょうか。
→中古オーディオ製品を発売しているダイナミックオーディオでは独自の安全検査を実施してPSEマークをつける方向で検討をしているようです。また、レンタル事業を始めることも検討していると記事では報じられていました。
(2006/02/25追記)
PSEマークのついていない電気製品が販売不可になる時期をまとめると下記のようになっているようです。
2006年4月
ゲーム機器、ラジオ、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子楽器、オーディオ機器など
2008年4月
エアコン、ホットプレート、空気清浄機、電動工具、マッサージ機など
2011年4月
配線器具、電線管、漏電遮断機など
記事によれば、中古パソコンなどを販売しているSOFMAPでも4月から販売できなくなる製品について現在セールで処分を実施しているようです。
(2006/02/26追記)
この電気用品安全法、PSEマークの件ですが、今日の「噂の東京マガジン」というテレビ番組でも特集されていました。その中ではやはりHARDOFFが出てきました。レコードプレーヤーや真空管アンプなど価値ある製品が売れなくなってしまうというのは本当に業界では大きな影響があります。既にHARDOFFではPSEマークの無い4月から販売できなくなる商品の買い取りを中止していることも大きく告知されているようです。
また、街の小さなリサイクル屋さんでは電気用品安全法そのものの存在や、この3月で猶予期間が切れること自体を知らないお店もありました。このお店では置いてある商品の半分くらいがこの4月からは売れなくなってしまうそうです。完全に行政の周知不足だと思います。
最近になってようやくマスコミが騒ぎ始めて国民の知るところになりましたが、行政は「官報で告知した」とかサイトで周知しているという程度の対応で本当に良いのでしょうか。国民の生活に大きく影響する法律だけに、今回は周知の方法には大きな問題があったと言えるでしょう。番組では、電気用品の安全を守るための法律で、個人間の取り引きが良くて、リサイクルショップを通して販売するのはいけないのかという矛盾の指摘も行われていました。
石橋楽器などで扱われているヴィンテージもののギターアンプ、なかには99万円なんていう商品もあるんですね。これが4月から売れなくなってしまうというのは、お店にとっては大きな問題ですし、愛好家にとっても大きな影響があります。電気炊飯器とヴィンテージものの楽器を一緒に取り扱って貰っては困るという意見もうなずけるものがあります。
一方で経済産業省の役人のインタビューも行われていました。役人の人は表示の統一を早く図りたいということ、楽器などを「除外することはできない」、「反省している」、「4月からは始めざるをえない」といった良くわからない回答をしていました。この法律、今後どうなるのでしょうか・・・。
(2006.2.28追記)
PSE法に関する意識調査の結果が発表されていました。
★Japan.internet.com Webマーケティング – PSE 法、「見直す必要あり」との声は62%――アイシェア調べ
この調査によると、知っていると答えた人は35%弱、見直す必要ありと考えている人が62%となっていて、やはり法律の内容または実施の時期、今までの周知の方法に問題があると言えそうです。
(2006/03/04追記)
電気用品安全法(PSE法)に反対するための署名活動が行われています。日本シンセサイザープログラマー協会が実施しているもので、3名の音楽家(坂本龍一、松武秀樹、椎名和夫)の方々が名前を連ねています。既に2月23日の段階で3万5020名もの署名が集まっているとのことですので、かなりのペースで署名が集まっているのではないでしょうか。私も署名に参加しました。
★電気用品安全法(PSE法)に対する署名
(2006.3.10追記)
今日の報道によると経済産業省の事務次官が、「PSE法に関する対策を至急考える」と会見で発言しています。
★ITmedia News:「PSE法、対策至急考える」と経産事務次官
この記事によれば、法律の施行に向けて準備してきた人にも配慮して猶予期間の延長は行わないものの何らかの対策は考えるようです。
(2006/03/23追記)
経済産業省ではビンテージものの楽器については1989年末までに製造を終えた製品について「ビンテージ」として適用除外を認める方針を決めたようです。
今日の経済産業省事務次官の記者会見によれば、「(法施行から)Uターンするわけにはいかない」と厳しい発言をしていますが、社会的な反響を見ていると、とても経済産業省の計算通りに、このままいけるような感じはとてもしません。
(2006/03/24追記)
今日の報道(共同通信)によればPSEマークがつけられていない中古家電製品を4月以降も事実上は販売できる判断をしたという記事がありました。電気用品安全法ではレンタルについてはPSEマークが無くても対応することができます。このため経済産業省ではマーク無しの販売でも法解釈上はレンタルと見なすという判断をしたそうです。マークをつけずに販売した時点がレンタルの開始、事後でマークをつけた時点が販売をしたタイミングと見なすのでしょうか。
事後に業者が検査してマークをつければよいそうです。もともとの法の主旨からいえば、火災や漏電などにつながる危ない電気用品が使われることを防ぐことが目的だったはずです。ところがレンタルならばPSEマークがついていなくてもOKという抜け道をつくって、そして中古家電に関する反発が強まったら、その抜け道を使って法の解釈をするというのは、いかがなものなのかと思いました。結局、PSEマークがついていない商品が販売されるのを許すのだとすると、PSE法自体、存在価値の無い法律という気がしてなりません。やはり、猶予期間自体をのばして、法律のあり方を徹底的に見直すしかないと思います。
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