赤沢大臣はNHKの番組で、米国と合意した15%への関税引き下げを急ぐため、共同文書による確認を求めない考えを示したことが報道されています。これは契約書なしに口約束で進めるような感じにも受け取れて、もしかすると米国と日本の間で大きな認識の相違があったとしても、気が付かずにこのまま進み、あとで大きな問題に発展するリスクをはらんでいます。いわゆる同床異夢の状態であれば、マズイということにもなります。
逆に米国との交渉の中で、文書として約束を残した場合は、お互い譲れないところが出てきて、このまま泥沼になるから、敢えて曖昧な状態にしておこうという取り決めがあった可能性もあります。このまま、日本と米国の間の交渉がもつれてしまうと、日本は高い関税を払わなければいけなくなりますし、米国も各国との関税交渉がよりもつれていく結果になってしまいます。
赤沢大臣は「米国から取ったものは関税率です。25%から15%に下げる。ここに遊びはまったくないので、取ったものをピン止する必要も何もなくて、この合意を大統領令を出して実現してもらうことだけが必要」と説明しています。
現時点でも米国側と日本側で、コメ、防衛費、対米投資などの各論点で、説明内容にズレが生じています。例えば、コメであれば米国側は米国産のコメ輸入75%増、農産物80億ドル購入が合意内容だと説明していますが、日本側はミニマムアクセス枠内で必要なコメの調達を確保と説明するのみで、主張内容に大きな違いがあるように思えます。
米国側は日本側の履行状況を四半期ごとに精査し不満なら自動車も含めて関税率を25%に戻すと主張していますので、今後も定期的に問題が再浮上するかもしれません。
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