
先週末に調布飛行場で行われた「調布飛行場まつり」に足を運び、伊豆諸島の特産品売り場で新島名物の「くさや」を買ってきました。
ずっと昔、まだ中学生だった頃に八丈島へキャンプをしに行ったことがあるのですが、くさやを口にするのはその時にお土産で買って帰ったものを食べて以来、実に数十年ぶりのことです。今回購入したのは、パック詰めされて売られていた「青ムロアジのくさや」です。
焼き始めた途端に広がる大騒動!我が家の食卓サバイバル
袋から取り出した段階ではそれほど独特な匂いは感じられなかったのですが、いざグリルで焼き始めてみると、あっという間に部屋中に物凄い匂いが充満しました。
この強烈な洗礼に、子どもたちは一瞬で完全に拒否反応。一番下の子どもにいたっては、まるで鼻血でも出たかのように鼻の穴にティッシュペーパーを詰め込んで必死に応戦している始末です。
そんなわけで、当然のように家族の中でくさやを食べたのは私ただ一人。「なんでこの親父はこんなものを喜んで食べているんだ……」という冷ややかな視線を一手に浴びながら、久しぶりのくさやを口に運んでみました。
今回のくさやは、魚の硬さがやや「固め」に仕上がっていました。おそらく長期保存に耐えられるよう、じっくりと乾燥させて水分をしっかり飛ばしているからだと思われます。かなり噛みごたえのある身ですが、噛めば噛むほど身の奥深くにまで独特の凝縮された旨味がしっかりと染み込んでいるのが分かります。
この中まで染み渡っている独特の風味は、本当にクセになる美味しさです。他の何物にも例えられない唯一無二の味わいで、白いご飯にはもちろん、じっくりお酒を嗜むときの手塩にかけた肴としても最高の相棒になってくれます。
職人の知恵が詰まった「くさや液」の巧妙な微生物管理
この唯一無二の美味しさの秘密は、何と言っても「くさや液」の存在にあります。新島などの加工場では、何代にもわたって継ぎ足され、大切に引き継がれている秘伝の液です。
くさや液の管理は、非常に巧妙な微生物の管理技術そのものです。加工場では液を連続して使い続けると良い仕上がりにならないと言われていますが、これは連続使用によって抗菌物質を作る有用な微生物の比率が一時的に減少してしまうため。そのため、液を二分して一日交代で休ませながら交互に使用し、有用菌の働きを回復させる工夫がなされています。
また、数ヶ月も使わずに放置すると菌が死滅してしまうため、長期間製造をお休みする時期には、ときどき魚の切り身を投入して微生物たちに栄養を補給し続けます。さらに貯蔵タンクを地下に設置して年間を通じて温度を一定に保ち、通気によって適度な酸素を送り込むなど、絶妙なバランスであの独自の風味と安全性が守られているのです。
かつて三宅島でもこの貴重なくさや液が代々受け継がれてきましたが、2000年の雄山噴火に伴う全島避難の際には、島を出ざるを得なくなったことで多くのくさや液が危機に瀕したという歴史があります。その後、三宅島で念願の生産再開を果たす際には、新島など他の島から貴重なくさや液を分けてもらい、奇跡的に伝統の味を復活させたお店もあったそうです。
普段のスーパーなどではなかなかお目にかかれないコアな郷土の味ですが、調布飛行場のお祭りのような地域イベントや、インターネット通販などを上手に活用して、これからもこの日本の奥深い伝統発酵食を定期的に楽しんでいきたいと思います。


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